キミが望むのなら


「うん。ちゃんと出かけるってい言えば大丈夫。うちの親、放任主義だからね」


そう言ってふふっと笑う。


っ……


最近よく笑うようになった桃香ちゃん。


これがまた可愛い……


「悠君の親も大丈夫なの?」


「あぁ俺、両親いないから」


「……え」


「事故で3年前に死んじゃってさ」


「あっ……ごめん」


申し訳なさそうに、顔を歪めた。


「いいよいいよ。まぁ、さすがに死んだときは結構ヤバかったけど、今はもう平気」


少しずつだけど慣れた。


「俺の両親、駆け落ち同然で結婚したからさ。あんまり親戚いなくて。だから死んだときは困ったけどね」



駆け落ちをした両親に、親戚はとても冷たく、亡くなってから唯一引き取ってくれたのが父方の祖母だ。


つまり、おばあ様。


「じゃあ今は……?」


「父方の祖母にお世話になってる」


「そっか……」


「うん……」


――ギュッ


「え……?」


そっと握られた手。




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