キミが望むのなら
「桃香ちゃん?」
「なんか……、悠君寂しそうだから……」
「寂しそう?」
「目が、寂しいって言ってるような気がして……」
寂しい……か。
「ははっ、結構大胆だね。桃香ちゃんって」
「え……?あっ///」
あっ、離しちゃった。
「そっか……寂しそうか……」
「悠、くん……?」
「そっか、そっか……」
寂しそうと言われたのは、初めてだった。
「俺ね、今家出してるんだ」
「えっ!?家出!?ど、どうして!?」
予想通り、心配そうな顔をする桃香ちゃん。
「俺さ、いつもここに来てる理由、ちゃんと話したことなかったよね?」
「え?うん、詳しいことは……」
「俺ね、前も少し話したけど、ここで生きてる実感を得に来てるんだ」
「……」
「俺、今の家に引き取られてから、まるで人形のようにおばあさまの言う通りに生きてきた」
進む高校も進学校。
そこでも優等生でいること。