キミが望むのなら
「うるせっ。……じゃあ本当にありがとな。おばさん達にもよろしく」
「おう!頑張れよっ!」
「あぁ」
信二に見送られ、久しぶりの我が家までの道を歩く。
家に近づくにつれ、心臓の音が大きくなる。
話すことは纏[まと]まってないけど、ちゃんと自分の気持ちを伝えよう。
俺の、素直な気持ちを―……
……あれ?
我が家に、つまり紺野呉服店に近づくに連れて、見えてくる人混み。
なんだ……?
少し足早にそこに向かい、人混みを掻き分ける。
「あっ!悠さんっ!!」
美智花さんが俺に気付き、走り寄ってきた。
「あの、これは……」
「大変なんですっ!!女将さんがっ!!」
女将って、おばあ様!!
急いで美智花さんの後に店に入り、従業員の集まっている場所に走る。
「っ!おばあ様!!」
苦しそうに胸を抱えて倒れこんでいるおばあ様。