キミが望むのなら


「救急車は!?」


「さっき連絡しました!もうすぐ来ると思います!」


「……う」


え?


「おばあ様っ!?」


「女将っ!!」


ほんの少し開いた瞳と口に、俺たちは全員で呼びかけた。



「ゆ……う……」


「え……」


今、俺の名前を……


「ゆう……っ……」


苦しそうに俺の名前を何度も呼ぶおばあ様。


「はい、ここに居ます!おばあ様っ!大丈夫ですからっ!もうすぐ救急車が来ます!!」



白く細い手を取り、強く握った。


この時、ハッした。


いつも口うるさく強気なおばあ様。


でも、腕はとても細く弱弱しい。


年齢も高齢だし、仕方ないことだろうけど……


すごく苦労していることが、その手から伝わってくる。



俺は本当に……今まで何をしていたんだろう……


こうやって自分の不幸だけを呪ってきて、おばあさまの苦労を全然分かろうともしなかった……




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