キミが望むのなら
呉服店を、何よりも大事にしてきたおばあ様らしい答えだ。
「ですがこのまま進行したら、私たちでも手の付けようがなくなります」
「っ……」
「一刻も早く、手術を行うことを薦めます」
その言葉に俺はただ頷き、部屋を出た。
「あっ!悠さんっ!女将が目を覚まされたわよっ!!」
パタパタとスリッパの音を廊下に響かせ、駆け寄ってくる美智花さん。
すぐに美智花さんの後に続き、病室に向かった。
するとそこには、細い腕に点滴を打ちながら寝ているおばあさまの姿が……
「おばあさまっ!」
ベットの淵に立ち、呼びかける。
「悠……さん」
ゆっくりと瞼を開けて、俺を見るおばあ様。
よかった……
ホッと小さく胸を撫で下ろす。
「おばあ様、先生からお話は聞きました。今すぐ手術を受けましょう」
「え!?手術!?」
一緒に居た美智花さんが、驚いた声を上げる。