キミが望むのなら


……ここだよね?


歩くこと数十分。


そこまで遠くない、この目的地に着いた。


信二君もこんなところに何の用事なのよ……?



ってか!なんの用件かさえ聞いてくるの忘れてたっ!!


あぁ―……あたしのバカっ!!


これじゃ中に入れないじゃないっ!!


ただでさえ、あたしにはこんなところ敷居が高くて入りにくいのにっ……



そっとその立派な看板を眺める。


「はぁ―……」


絶対入れない……


おもむきのある立派で高そうな木の看板に、それはもう凄い達筆で『紺野呉服店』と書いてある看板。



ここはこの町で昔からある、とても有名な老舗の呉服店。


入ったことのないあたしでも、ここの凄さは知っている。



とにかくこんな一般人のあたしが入れるようなところではないのだ……


しかも制服だし……


「はぁ―……」


どうしよう……


信二君に事情を話して、今日は帰る……?


でも今電話をするのもな~~





< 192 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop