キミが望むのなら
「あのぉ―……」
信二君は今頃美樹と大事な話をしているかもしれないし……
「あの……」
そんな時に電話なんて……
「あのっ!」
「へっ!!?」
「どうかなさいました?」
「あっ……」
いつの間にか後ろに立ってニッコリと笑顔を向ける、着物の女の人。
「あっ、あのっ!そのっ!!」
パニックで言葉がしどろもどろ。
「店に用事があるんでしたら、すみません。今日は休みなんですよ……」
「……え?」
や、休み……?
確かによく見ると、ドアのところに『諸事情により、今日はお休みさせていただきます』という紙が貼ってある。
「あっ、ほんとだ!すみません!!」
「いえいえ、かまいませんよ」
ふんわりと大人な雰囲気を醸し出す女性。