キミが望むのなら
*第1章*
普通の自分‐桃香Side‐
「も~もかっ♪」
クリンとした瞳をあたしに向けながら、走り寄ってくる美樹[みき]。
元々可愛くて大きな瞳をしているにも関わらず、アイラインをしっかりと目元にひいていることで、クリンとした瞳がひき立っている。
「あのねぇ、桃香[ももか]」
「いやだよ」
「え~~まだあたし何も言ってないじゃん!」
口元をアヒル口にして、あたしを見る美樹を冷やかな目で見つめる。
「聞かなくてもわかるから言ってんの」
「じゃあいいじゃ~ん」
『じゃあ』って何が『じゃあ』よっ!!
「ねっ!!今日が最後だからぁ」
最後と言われたのはこれで7回目。
……いや、8回目だっかな?
「ねっ!お願ぃ!!どうしても信二[じんじ]君に会いたいの~」
「信二……?あんた、この前の彼はどうしたのよ」
先週美樹に連れられて会ったのは、確か違う名前の男の子だったような……
「あ~、彼は飽きちゃったからさよならしたんだぁ~~」
「……」
……またか。