キミが望むのなら
「美樹の涙を綺麗だって思ったんだよね。その涙に惚れ直しちゃって、気付いたら『付き合おう』って言ってた」
プシュと小さな音をたてて、信二がジュースを開ける。
「でもさ、後悔は全然してないんだぜ?毎日美樹と一緒に居れるのは、本当に嬉しいし」
「そっか」
その気持ちは分かる。
毎日好きな人と無条件に会えるのは、カップルの特権。
「って、じゃあ何が不安なわけ?」
「……」
今の話聞いてたら、不安要素はあんまり無いような……
「その……さ」
「あぁ」
「わ、笑わないか?」
「は?」
笑う?
「なんだよ。笑うようなことなのか?」
「じ、実はさ……そのキスとかした後、よく考えちゃうんだよね」
「何を?」
「その……美樹の過去」
「は?」
美樹ちゃんの過去?