キミが望むのなら
こいつ……なんか変わった?
「……桃香、行こう」
桃香の肩を支えて、そいつの横を通り過ぎた。
「……悪かった」
……え
俺も桃香も足を止めて、振り向いた。
「謝って済むことじゃないって分かってるけど……。どうしても謝りたくて」
桃香の目をしっかりと見ている。
その目は、嘘偽りのない瞳だった。
「俺さ、怖かったんだ。一目惚れした桃香をどうしたら大事にできるのか……って」
「……」
「桃香に凄い酷いこと言ったけど、本当は俺が自分に自信がなかった……」
静かに篤志の言葉に耳を傾ける桃香。
「だから縛り付けてでも、俺のそばに居させたかった。ごめん。俺、愛し方を間違えたんだよな……」
愛し方なんて……そんなのは誰にも教えてもらえない。
だから間違えるし、過ちも起こす。
みんながみんな、手探りで探しているんだ。
「本当にごめん!でも、これだけは信じてほしい。俺、本当に桃香のこと好きだったんだ」
「っ……篤志」