キミが望むのなら
こんな時に思うのもどうかと思うけど、桃香の瞳には今あいつしか映ってない。
それが気に食わないなんて、俺も心が狭いな。
「もういいよ、篤志」
「でもっ……」
「謝ってくれたのと、ちゃんとあたしを思ってくれてたって分かっただけで十分」
「桃香……」
「だからもういいよ」
あんなに傷ついたのに許すなんて……
でも、こんな桃香を俺は、好きになったんだよな……
「桃香、今幸せか?」
は?
「うんっ!もの凄く幸せっ!!」
っ……///
「そっか、よかった。幸せにな」
「うん……、篤志も」
これで本当に篤志の想いは終わりを告げられるのかもしれない……
「行こう、悠君」
「あぁ」
俺の手を強く握る桃香の手は、もう震えていない。
桃香も、こいつのことちゃんと好きだったのかもな……
悔しいけど……