キミが望むのなら
美樹の表情は見なくてもわかる。
こんな風に桃香を紹介する俺は、最低なのかもな……
でも、桃香の心が一番今大事だから。
桃香を不安にさせない為にも、先にちゃんと紹介をして起きたかった。
俺は全員の心を守るなんて、そんなカッコイイことは言えない。
俺には、なにより桃香の心が大事だから。
「彼女……」
「うん」
少し揺れる由佳の瞳。
「そ、そっか!よかったねっ!!あっ、あたしそろそろ中に入るね!」
「あぁ、今日からよろしくな」
「う……んっ」
逃げるように中に入った由佳。
「悠君……」
「あっ、ごめん。桃香。俺も中に入らないとね」
「うん……。あのさ……」
「ん?」
「うぅん!やっぱり何でもない!美智花さん呼んでたよ」
「あぁ、分かった」
桃香が何か聞こうとしたけど、俺はあえて聞き返さなかった。