キミが望むのなら
「あたしイヤだからっ!絶対に認めない!」
「ちょっ!由佳っ!!」
逃げるように走り去っていく由佳を、俺は追いかけることが出来なかった……
はぁ―……俺、何してんだよ……
由佳にちゃんと話そうと思ってたのに、全然話せてねぇじゃん。
本当に情けない……
自分の情けなさに、その場でため息を吐きながら座り込んだ……
あぁ―……早く明日の準備を終わらして桃香に会いにいかないと……
というより、俺が早く桃香に会いたい。
それであの笑顔で笑う桃香を抱きしめたい。
急いで準備を終わらした俺。
でも、もう店には桃香の姿はなく『用事が出来たので先に帰ります。ごめんね』という置手紙があっただけだった……
はぁ―……用事じゃ仕方ないか……
でも、会いたかったな―……
この時俺は、桃香がどうして先に帰ったのかさえ、ちゃんと分かってやれてなかった。
もしかして、俺が桃香の異変にすぐに気付いてやれてたら……
気付いて抱きしめてやれれば……
――桃香はずっと、俺のそばに居てくれたのかな……?