キミが望むのなら
「じゃあもう一度聞くわね」
そんなあたしに怒りもせずに、もう一度優しい口調で話し出す。
「進学っていうのは決まってるのよね?」
「あ、はい……」
「それで詳しい進学先は……決まったかな?」
……やっぱりそこだよね。
「あの……その……まだちょっと……」
「……そう」
「……」
「……」
このシーンとする雰囲気がダメ……
しかも進路室って、他の教室と少し離れてて静かなんだよね。
「将来の夢とかは……」
「夢……」
「好きなこととか、得意なことから探すのもいいわよ」
好きなこと……
得意なこと……
あ……れ?
あたし、何が好きなの……?
あたし、何が得意……?
――あたし……夢が全然ない。
空っぽなんだ―……