キミが望むのなら


「じゃあもう一度聞くわね」


そんなあたしに怒りもせずに、もう一度優しい口調で話し出す。


「進学っていうのは決まってるのよね?」


「あ、はい……」


「それで詳しい進学先は……決まったかな?」


……やっぱりそこだよね。



「あの……その……まだちょっと……」


「……そう」


「……」


「……」


このシーンとする雰囲気がダメ……


しかも進路室って、他の教室と少し離れてて静かなんだよね。


「将来の夢とかは……」


「夢……」


「好きなこととか、得意なことから探すのもいいわよ」


好きなこと……


得意なこと……


あ……れ?



あたし、何が好きなの……?



あたし、何が得意……?



――あたし……夢が全然ない。



空っぽなんだ―……



< 241 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop