キミが望むのなら
分かっていたつもりだったけど、決めないといけない時にこうやって実感する。
「あたし……何がしたいかわからないんです……」
「鈴木さん……」
何がしたいのか、わからない……
「そうね、この時期はみんな迷うからね」
「……」
本当にそうなの?
みんな、こんな風に迷っているの……?
今社会人になってる人も、こんな風な時があったの……?
「でもね、あまり時間がないから……」
「はい……」
なんで夢を決めるのに、制限時間があるの?
あたし、こんな空っぽのまま、何か見つけられるかな……?
―――――――――――――……
「桃香ぁ~~、今日もバイトぉ~~?」
「うん。でも、悠君の就任パーティーが終わるまでだけどね」
「えっ!?そうなのぉ~~?」
放課後になり、靴箱に美樹と迎いながらの会話。
「えぇ、桃香バイト楽しそうだったのに~~」
「……え?楽しそうだった?」
「うんっ!桃香、着物とか好きなんだなぁ~って思った」