キミが望むのなら
「2人ともうまくいってよかったね」
「そうだな」
美樹から付き合い始めたと聞いた時は、本当に心の奥底から嬉しくなった。
やっと美樹の想いが届いたんだ……って。
でも美樹は『これから信二君に信頼してもらえるように頑張る。だから今からがスタートなんだ』って言って、いつも以上に可愛い笑顔で微笑んだ。
「じゃあ俺たちも、行くか」
「そうだね」
あたしたちも、付き合うことがスタートなんだろうか……?
じゃあ、ゴールはどこなのかな……?
あたしも悠君と、そのゴールまでたどり着けるといいな。
「って言っても、店までの距離だけど。ごめんな、放課後デートとか出来なくて」
また謝る。
「もぅ、前も言ったけど、謝らなくていいよ。それにさ、こうやって店に行くまでの道のりを一緒に行けるだけでも、あたしにとっては放課後デートだし」
「っ……///」
ほんとはデートとかちゃんとしたいとは思うけど、悠君が忙しいの知ってるし。
それに、本当に一緒に居れるだけで幸せなんだよね、あたし。
「桃香、卑怯だ……」
「え!?何が!?」
ひ、卑怯!?
「何でも。ほら、行こう」
「えぇ!?気になるじゃん!!」
どれだけ聞いても、悠君はそのことについて教えてくれることは無かった。
悠君こそ、卑怯だ!!