キミが望むのなら


そんな篤志を見ていたら、今まで苦しかった心が少し、楽になった。



「もういいよ、篤志」


素直にそんな言葉が、口から出てきた言葉。


もういいよ。


篤志だけが悪かったわけじゃない。


悠君に惹かれているのに、それを隠そうとしていた自分も悪い。


だから、もう篤志も自分を責めなくていいんだよ……?



「桃香、今幸せか?」


歩き出そうとした時に投げかけられた言葉。


それは篤志にとって、最初で最後の優しい言葉だった。


「うんっ!もの凄く幸せっ!!」


だからあたしも、最高の笑顔で答えるね。


「そっか、よかった。幸せにな」


「うん……、篤志も」


その言葉に、心が少しキュッとしたのは、篤志を好きだった自分が居たからなのかもしれない……


「行こう、悠君」


「あぁ」


でもね、今のあたしには凄く凄く大切な人が出来たんだ。


篤志との恋は、苦しくて辛かったけど……



きっと今のあたしに繋がっている思う。



篤志、あたしを好きになってくれて、ありがとう。



幸せになってね……



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