キミが望むのなら
大幅に遅刻して、店に到着したあたしたち。
早く着替えないと!!
昔、少しの間だけど茶道を習っていたあたし。
着物を着るのは難なくこなせた。
自分のことで従業員さんに手間を取らせるのは気が引けたから、これは習っててよかったな……なんて思った。
「あら、ここに居たのね」
「あっ、美智花さん」
更衣室で着替えていると、ひょこっと顔を出した美智花さん。
「すみません。遅れました……」
「いいのよ。悠さんと道草でもしてるのかな―って思ってたから♪」
「っ……///」
「あら、図星かしら」
ペロッと舌を見せて笑う美智花さんは、まるで少女のように無邪気だ。
「それにしても、桃香ちゃんたちって付き合ってまだ1ヶ月くらいなんでしょ?」
「あっ、はい。もうすぐで2ヶ月になりますけど……」
「それなのに、悠さんは忙しいから寂しくない?」
「えっと、寂しくないっていったら嘘になるけど、悠君の夢は応援してあげたいから……」
悠君が決めたことを、邪魔だけはしたくない。
「まぁ!なんていい子!!落ち着いたらデートに行けるといいわね」
「あっ、はい」
デート……か。