キミが望むのなら
さっきここに入る前に、デートの約束をしてくれた悠君。
まだまだ先のことだし、いつになるかは分からないけど……
もうすでに、今からこんなに楽しみな気分になってしまう。
「あっ、そうそう。悠さんを呼んできてもらえる?」
「え?」
「まだ外に居たようだから」
「あっ、はい」
まだ外に居たんだ……
てっきり、もう中に入っているかと思ってた。
帯を綺麗に結んで、店の外に向かう。
「悠君?美智花さんが呼んで……え?」
制服姿の女の子がゆっくりとあたしを見る。
「えっ……と」
たったそれだけのことなのに、動揺してしまう。
「桃香、おいで」
そんなあたしを、悠くんが優しく呼ぶ。
「今日からバイトに入った土岐[とき]由佳さん」
「あっ、そうなんだ」
新しいバイトさんか……
なんだ……よかった。
「それでこちらは鈴木桃香さん。俺の彼女なんだ……」
「っ……」