キミが望むのなら
そんな不安を掻き消すかのように、急いであたしも中に入った。
入ってすぐに、由佳さんの紹介をすることになり、従業員の人が集まってくる。
「今日からバイトに入ってもらうことになった、土岐由佳さんです」
「土岐由佳です。高3です。よろしくお願いします」
小さく手をパチパチと叩く。
「高3ってことは、悠さんと桃香ちゃんと同じだね」
「え!?あ、はい……」
突然の質問に、あやふやな答えをしてしまったあたし。
「じゃあもうみんな将来の進学先とか決める時期か~~」
「っ……」
「悠さんはここで修業でしょ?」
「まぁ、そうですね。4代目になるんで」
悠君の気持ちははっきりしていて、迷いがない答えだった。
「2人はもう決まったの?」
――ドキッ
「あ、あたしは看護学校に」
由佳さんも迷いなく答える。
「あたしは……その進学で……」
「え?どこに……?」
っ……
「それは……」
「っ、皆さん。そろそろご予約のお客様がいらっしゃいます。準備してください」
「あっ、ほんとだ」
悠君が遮ってくれたおかげで、話はここで終わった。
ホッとするあたしの横で、悠君もホッとしているようだった。
もしかして……答えられないと思って助けてくれたのかな……?