キミが望むのなら


優しいから、そう言ってくれるって分かってる。


けど、嬉しい。


「でもま、これからはバイトじゃなくてもそばにいれる時間は作れそうだし。いっか」


「……そうだね」


悠君……


ごめんね……


それは出来ないんだよ……


言いたい言葉を飲み込み、必死に笑顔を作る。


「明日ついに就任パーティーだね」


「うん、ちょっと緊張かも」


「大丈夫だよ。悠君なら」


きっと大丈夫。



「じゃあさ、頑張るから、終わったらご褒美にデートね」


「え?」


「桃香と行きたいところいっぱいあるんだよね―……」


綺麗な満月を見上げながら、そう言ってくる。



「まず遊園地でしょ?」


悠君……


「それに、水族館」


悠君……


「あと、おもいっきって旅行とかもいいよね」


ゆう……くん……



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