キミが望むのなら


「あっ、桃香」


「……ん?」


「明日就任パーティーが終わったら連絡するな」


「……え」


「どうせここに来るって分かってるんだけど、なんとなく」


「……」


ダメだよ……


そんな約束できないのに……


でも、あたしはまた嘘を重ねる。


「変な悠君。うん、待ってるね」



最低最悪の嘘を、見抜かれないように、最高の笑顔で返す。


「また明日な、桃香」


「うん」


悠君が望んだ。


悠君はあたし笑顔が好きだって言ってくれた。


だからあたしは……


最高の笑顔で言うね。



「バイバイっ!悠君っ!!」



手を大きく振って、笑顔の悠君に背を向けた。


もうちょっと待って……


もう少しだけ……


せめて、ここの公園を出るまでは……



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