キミが望むのなら


もう……少し……


もう……少しだけ……だから……


「っ……」


キミが好きでした。


こんなに苦しい恋も―……


一緒に居るだけで心が温かくなる恋も―……


あなたが初めてでした。


「うっ……」



あたしのことを考えて、桃のアメを買ってくれるあなたも―……


桃香だからって、桃の香水をくれた、ちょっと不思議なあなたも―……


――本当に本当に大好きでした。



「っう―……」


好きでした。


大好きでした。


うぅん。


今でも……大好きです。


でも、あたしはあなたに迷惑しか掛けられないから―……


だからあたしは……今のあたしでは、あなたのそばには居ることはできない。





――『俺は桃香の泣き顔より笑顔が好きだな』


そう言ったあなたの優しさは忘れない。


だから最後に、あなたの為にあたしが出来る精一杯のことをするね。




――あなたが望むのなら、あたしはいつでも笑っていられる。



たとえ、それが悲しい別れでも―……



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