キミが望むのなら


いつ見ても、あたしには似合わないウサギだな―……


クリクリとしたその瞳を見て、微笑みかけた。


「桃香っ!!」


「え?美樹っ!?」


「桃香ぁ~~」


――ギュウ



……美樹。



「美樹ねっ!本当に桃香が好きなのっ!!美樹が入学して、誰も友達がいない美樹に、笑いかけてくれたのは桃香だけだった」


強く抱きしめられながら、そう伝えられる。


「桃香だけだった……。本当のあたしを見てくれる人は……」


「美樹っ……」



強く抱きしめ返す。


「イヤダよぉ~~、行かないでよぉ~~。美樹、桃香と離れたくないよぉ~~」



「美樹っ、大丈夫だよ。本当の美樹を見てくる人、出来たでしょ?信二君はちゃんと美樹を見てくれるでしょ?」


「桃香ぁ~~」



「ありがと、美樹」


ずっと思ってた。


なんでこんな普通のあたしに、美樹が興味を持ったんだろう?って……


でも、理屈じゃないのかもね……?



あたしと美樹は、出逢った瞬間からこうなることが決まってたのかもね……



「桃香……悠君には……?」


「……」


< 280 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop