キミが望むのなら
少しでも悠君との繋がりがあると、ここから……悠から離れることが出来なから……
後20分。
後10分。
「さっ、そろそろ行くか」
そう言って、キャリーバックを持つお父さん。
それに続いて、お母さんも立ち上がった。
……本当にお別れなんだ。
本当に……
……ダメダメ。
もう泣かないって決めたでしょ?
悠君が好きだって言ってくれた笑顔で、こことさよならしないと。
さよならを……
「桃香、行くぞ」
「……ん」
ゆっくりとあたしも立ち上がり、搭乗手続きを済ませる。
「では、手持ちの物はこのかごに入れて、通ってください」
どんどん順番が近づいてくる。