キミが望むのなら
キミとの未来‐悠Side‐
「悠っ!こっちこっち」
街中にある喫茶店に入ると、手を振りながら俺を呼ぶ信二。
「あぁ、ごめん。遅くなった」
「大変だなぁ~、4代目はさ」
「まぁな。って言っても就任して4年も経つと、さすがに慣れるもんだよ」
「そんなもんか?」
そう言って、ウェイターに『コーヒーを2つ』と信二が注文する。
「そんなもんだろ。最初の頃は大変だったけどな」
4代目に就任してからは、目まぐるしい日々を過ごした。
「あの時は本当に大変だったよな……」
「……」
信二が、しみじみと空を見上げる。
「そうだな……」
あの日……
桃香が俺のそばから離れた日―……
何も聞いてなかった俺は、目の前が真っ暗になった。
「早いもんだな……。時が過ぎるのって……」
「あぁ―……」
「あっ、それで今日呼んだのはさ。実は報告があって」
「は?報告?」
信二とは高校を卒業してからも、時々会っていた。