キミが望むのなら
「確かに、まさか俺が悠より早く入籍するとは思わなかったからな」
「俺だって思わなかったよ」
突然入籍なんて聞いて、しかも子供が出来たなんてさ。
「でも、そういう悠も結婚するんだもんな」
「あぁ―……」
「まさか、この年に一緒に入籍するとはな」
「ははっ、驚きだよな」
コーヒーをコトッと小さい音を立てて置く。
「そうだよな。あれから4年も経つんだし、前に進んでいるよな……」
「お互いな」
「そろそろ、その婚約者と待ち合わせじゃないか?」
そう言ってニヤリと笑い、信二が腕時計を見る。
「あっ!ヤバッ!!じゃあ、俺行くな!」
「おうっ!あっ!悠!!」
「ん?」
立ち上がってコートを羽織る俺に、信二が呼びかける。
「結婚、おめでとう」
「ふっ、サンキュ。信二も、結婚おめでと」
笑い合って、そこから走り出した。