キミが望むのなら
あの日から……
桃香が、俺の元からいなくなって4年……
本当にいろいろあった。
本当に―……
4年も経って、前に進んでいるのに、あの日の出来事は忘れられない……
――――――――――……
~4年前~
「悠さん、今日の準備は大丈夫かしら?」
「大丈夫ですよ。おばあ様」
綺麗な着物に身を包んで、準備バッチリなのはおばあ様の方。
「後は着替えるだけなんで」
「そう」
手術も無事に終わって、今は安定しているおばあ様。
でも、これからは俺がここをきちんと継いで、おばあ様を楽させないとな。
「本当に、悔いはありませんか?」
「え?」
「ここを継いで4代目になることです。進学もせず、ここでずっと過ごしていくんですよ?」
不安そうなその瞳。
「いいに決まってます。なんてったって、俺の夢ですからね」
「ふふっ、そうでしたね」
こうやって笑い合える日が来るなんて、思ってもいなかった。