キミが望むのなら
「由佳っ!!」
――ビクッ
涙を目にためて、肩を震わす。
「桃香に何を言ったんだよ!?」
「っ……あ、あたしはただ、本当のことを言っただけだもん……」
「本当のことって?」
早く聞き出したい焦りが、由佳の腕を強く握ってしまう。
「ゆ、悠君が前怪我したせいで、就任パーティーが出来なかったって聞いたの。それに桃香ちゃんが関わっていたって言うのも……」
「……それで?」
「っ……だから言ったの。『今のあなたじゃ、悠君の足手まといにしかならない』って……」
「っ!!」
それで……
それで桃香は……
でも、だからって俺に何も言わずにいなくなるなんて……
このまま別れるなんて……
こなまま会えなくなるなんて……
そんなのっ……
店の中に戻り、財布を手に取ってもう一度外に出る。
――ギュッ
「なんでっ!」
その瞬間、腕を由佳に掴まれた。