キミが望むのなら


「なんであの人なの!?悠君に迷惑かける人なのにっ!何も特別なことが出来る人じゃないのにっ!なのになんでっ!!」



「っ!あんたね!さっきから聞いてたらっ……」


「由佳、桃香は凄い奴なんだよ」


美樹ちゃんの言葉を遮った。



「俺が逃げていたことからちゃんと向き合わせてくれたし、俺の夢にも気づかせてくれた」


「っ……」


「桃香が俺を必要としてるんじゃない。俺が桃香を必要としてるんだ」



「っ―……」


俺には桃香が必要なんだ。


桃香がいないと、俺はダメなんだ……


――ガラッ



「悠さん、さっきからどうしたんですか?騒がしいようですが……」


「おばあ様すみません」


「え?」


店の扉を開けて、出て来たおばあ様に頭を下げる。



「今から空港に行かせてください」


「なっ!空港ですって!?そんなところに行ってたら間に合わなく……」


「お願いします!俺の……俺の大事な人が……」


「……悠さん」


「今、行かないといけないんです!今会いに行かないとっ!!」


今行かないと、間に合わなくなるかもしれない。


< 293 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop