キミが望むのなら
「なんであの人なの!?悠君に迷惑かける人なのにっ!何も特別なことが出来る人じゃないのにっ!なのになんでっ!!」
「っ!あんたね!さっきから聞いてたらっ……」
「由佳、桃香は凄い奴なんだよ」
美樹ちゃんの言葉を遮った。
「俺が逃げていたことからちゃんと向き合わせてくれたし、俺の夢にも気づかせてくれた」
「っ……」
「桃香が俺を必要としてるんじゃない。俺が桃香を必要としてるんだ」
「っ―……」
俺には桃香が必要なんだ。
桃香がいないと、俺はダメなんだ……
――ガラッ
「悠さん、さっきからどうしたんですか?騒がしいようですが……」
「おばあ様すみません」
「え?」
店の扉を開けて、出て来たおばあ様に頭を下げる。
「今から空港に行かせてください」
「なっ!空港ですって!?そんなところに行ってたら間に合わなく……」
「お願いします!俺の……俺の大事な人が……」
「……悠さん」
「今、行かないといけないんです!今会いに行かないとっ!!」
今行かないと、間に合わなくなるかもしれない。