キミが望むのなら
「あぁ、会ったよ。どうせ桃香は知ってたんだろ?」
「えへへ」
美樹ちゃんが桃香に話してないわけがない。
俺と美樹ちゃんに接点はなくても、桃香と美樹ちゃんは未だにちょこちょこ会うみたいだから。
「どうして黙ってたわけ?」
「だって、驚かせるなら1度より2度驚かしたい!なんて美樹が言ってきたから」
つまり、桃香で1度。
俺で2度、驚かして楽しみたかったんだろう。
そう言えば美樹ちゃん、そんな性格してたな―……
「……ねぇ、悠君」
「ん?」
「あたしたち、ここで出逢って恋に落ちたんだよね……」
「……あぁ―……」
手を繋いだまま、夜空を2人で眺める。
「今考えると、凄く不思議な出逢いだったね」
「そうだな……」
満月の夜に出逢った俺たち。
夢も未来にも希望なんてなくて、ただ時が過ぎるのをじっと待つだけだった。
「あたし、まさかこんなに素敵な夢を持てるなんて思わなかった」
「……俺も」
桃香と出逢って、同じ夢を追いかけた。
こんな未来、誰も予想してなかっただろう……