キミが望むのなら



「そっ、例えば着物の専門学校に進学した時は、次は実践的にお客様の見立てをしたいとか……」


その夢は確かに叶っている。


次期女将として必死に勉強した桃香には、見立てをしてほしいというお得意様も増えている。



「あっ、それと就職してからは1年以内に女将に、次期女将として認めてもらうっていう夢が出来たんだ」


「それは目標じゃないの?」


「目標でもあり、夢でもあるのっ!!まぁ、その夢は叶えられなかったけど……」


就職して、おばあ様の指導を徹底的に受けた桃香。


そんなおばあ様はなかなか桃香を次期女将としては認めず、桃香は1年でという夢は叶わなかった。



でも、就職して2年後の今年。


おばあ様がやっと、桃香を次期女将として認めてくれたんだ。


きっとおばあ様のことだから、女将としての大変さを桃香に教えたかったんだと思う。


だから、2年もの歳月をかけて指導をしたのだろう……



「じゃあ、もう夢は全て叶えたんだ?」


おばあ様に認めてもらって、やっと次期女将として従業員に紹介された。


それで桃香は完全に夢を叶えた。



「まだだよ」


「え?」


まさかの返答に、少し驚いた。


まだ何か夢が……



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