キミが望むのなら
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「お醤油切れてたぁ~。ちょっと買い物に行ってくる」
「は!?買い物に行くなら待て」
「へ?」
ふりふりのエプロンを脱ぐあたしの手が止まり、ソファーから焦ったように立ち上がる信二君を見る。
「え?信二君、お買い物って言ってもそこのコンビニに行くだけだよぉ~?」
「それでもダメ。もう美樹1人の体じゃないんだからさ」
あたしのお腹を微笑みながら撫でる。
「本当に大丈夫だよぉ~?5分もしない距離にコンビニがあるんだし」
「コンビニでもたった5分だけでもダメだ。またコンビニでナンパされたらどうするんだよ」
「あははっ。それは出逢った時でしょぉ?今は妊婦だし、何より信二君の奥さんだよぉ?」
先月あたしたちは入籍した。
出逢った時は、こんな風に生涯のパートナーになるとは思っていなかった。
「ダメなものはダメ」
財布と携帯をジーンズのポケットに入れるってことは、一緒に行く気満々だな……
「なぁ、美樹」
「ん?」
マンションを出てコンビニに向かう。