キミが望むのなら
「下ばっかり見てたら、こんな綺麗な満月だって見れないよ」
彼女が俯いてる姿が、気に入らなかった。
「こっちにおいでよ。一緒に月見でもしよう」
そう言うと、素直に俺のところへ歩み寄ってくる彼女。
その時、やっと綺麗に彼女の顔が見えた。
クリっとした瞳に、ほんのり赤い頬。
化粧はほとんどしてないのか、とても自然な感じ。
髪はウェーブのかかったブラウン色の髪で、とても彼女に似合っていると思った。
「隣座る?」
「うん……」
左隣に寄ると、俺の右側に座った彼女。
「本当に綺麗だよね……」
そんな俺の一言を、ただ黙って聞いていた。
「……」
「……」
それからはただ、2人して夜空を見上げた。
今日の夜空は本当に綺麗だ。
星はそこまで無くても、月がとても綺麗に輝いている。
まるで、吸い込まれてしまいそうなほどだった。