キミが望むのなら
夜空を見上げる彼女を、少しだけ覗き見した。
純粋そうな彼女の瞳。
綺麗で、穢れ一つないような、そんな瞳。
ただ、全てを諦めた……そんな瞳だとも思った。
なんでこんなこと思ったのかわからない。
でも、この瞳は俺に似ている……そう思った。
「さっ、そろそろ帰るか」
「えっ……」
ほんの少し、彼女の瞳が揺れる。
「じゃあね」
「あっ……」
呼び止めようとする彼女の声が聞こえたけど、俺はそのまま足を進めた。
一度も振り返らずに―……