キミが望むのなら
―――――――――……
「なんか浮かない顔してるな―」
「……信二」
机に座っている俺の顔を覗き込むようにして、体を屈めた信二。
「別に、いつもと一緒だけど?」
「そうか?なんか普段と変わった気がしたから、何かあったのかと」
何か……
「……特に何もない、普通の日だったけど」
普通の日常だった。
彼女と出逢ったこと以外は―……
「そういうお前こそ、昨日の子はどうしたんだよ」
「あれ?なんで知ってんの?」
不思議そうに首を傾げて、自分の席でもないのに、俺の前のイスに腰掛けた。
「さっき、クラスの奴らが話してた。昨日、お前に会いに可愛い子が正門に来てたって」
「あ―……もう噂になってんのかよ」
顔を伏せて、髪をクシャクシャする信二からは、表情が読み取れない。