キミが望むのなら
「なに?彼女?」
「違ぇ―よ。この前、ナンパされてたのを助けただけだ」
助けたって……
本当にこいつ、見た目によらず真面目だよな。
信二の見た目は、一言でいうとチャラい。
明るい茶色の髪に、耳にあいたピアス。
この真面目ばかり集まった学校では、そんな信二はとても目立つ。
俺とは高校からの知り合いだが、俺が心を開ける数少ないうちの一人。
「じゃあ何?お礼とか?」
「まぁ、そんな感じ」
困ったように、また髪をクシャクシャとする。
「お礼したいって言われて、コーヒー奢ってもらっただけだ」
「……ふぅ―ん」
「なんだよ。その疑いの目は」
「別に」
恐らくこいつのことだ。
相手の女も、少なからずこいつに好意を持ってのことだろう。
じゃないと、わざわざ学校を探してまでお礼になんか来ないだろうし。