キミが望むのなら
「あっ、そういえば昨日由佳[ゆか]が俺ん家に来たぞ」
「そう」
「そうってお前な―……。由佳が心配してたぞ。最近、お前と連絡とってないって」
「あ―……」
由佳というのは、信二の隣の家に住んでいる、俺らと同じ高校3年生の女の子。
信二とは幼馴染で、その関係で俺も仲良くなった。
「まぁさ、元カノとかそんなこと考えず、気楽に連絡とってやってよ。な?」
「あぁ、そうだな」
由佳とは、1年ほど前に少し付き合ったことがある。
由佳に告白されて、付き合った。
由佳の隣にいるのは、とても楽だった。
少なからず、俺は彼女に気を許していたから……
でも……そんな安らぎを最初に手放したのは俺。
いつまで続くかもわからない安らぎが、怖くなった。
だから由佳を手放した。