キミが望むのなら
惚れっぽくて冷めやすい美樹は、相手が自分に振り向くと冷めてしまうという特殊な女の子。
きっと今回も、その彼が美樹に惚れたから美樹の恋心は冷めてしまったのだろう。
というより、それが本当の恋心だったのかさえ、微妙だけど……
「で、でもねぇ!!今回は本物だと思うのぉ~~」
「そのセリフも何回も聞いた」
毎回、毎回、『今回こそ』『今度こそ』という言葉を聞き、そしてすぐにあの満面の笑みで
『違ったみたい♪』とあたしに報告してくるんだ。
そんなことにわざわざ付き合ってられない。
「ねぇ~、お~ね~が~い~」
「あ―…もうっ!!ウザいっ!!」
ギュウと腕にしがみついてくる美樹を引き離す。
「お願いだよぉ、桃香~~」
それでもめげない美樹。
「……はぁ、本当に今回で最後だから」
「えっ!!いいのっ!?」
パッアと明るい笑顔で、あたしを見つめてくる。
「ただし、その人に会ったらあたしは帰るからね」
「うんっ♪あっ!もしかしてぇ~~今日は篤志[あつし]くんとデートぉ?」
「まぁね」