キミが望むのなら
何か言いたそうな顔を伏せ、すぐ俺に笑顔を向けてくる。
「じゃあ俺も、今日は家でおとなしく勉強しないとな」
そう言いながら、カバンを肩に掛け、教室を出た信二を追うように俺も教室を後にした。
「……なんでっ!!」
校舎を出てすぐに、正門を見た信二の足が突然止まった。
「どうした?」
「うわっ、マジかよ……」
信二が頭をかかえる。
そんな信二が頭を悩ませている原因って……
「……なに、ナンパを助けた子?」
「……あぁ」
正門の方でニコニコしながら、嬉しそうに手を振っている女の子。
「い、行かないとダメか?」
「さすがに無視はダメだろ。あんな嬉しそうに手を振ってるんだから」
「だよな―……」
はぁ―……と俺の横で、深くため息を吐く。