キミが望むのなら
「あ―……美樹ちゃん、来てもらって悪いんだけど……」
「今日ね、信二君に大事な話があってきたの!少しの時間でいいから、時間くれないかなぁ……?」
上目遣いで信二を見つめているこの顔を見たら、大体この子が何しに来たか、俺でも分かる。
「じゃあ俺、帰るな」
「えっ!帰るのかよ!?」
当たり前だろ。
さすがに、俺がここに居るわけにはいかないだろ。
「じゃあ行こぉ♪信二君♪」
「あ―……うん」
信二。笑顔が引きつってるぞ。
でもなんだかんだ言って、信二は優しいからな。
彼女を傷つけることはしないだろう。
さっ、俺もさっさと帰らないと。
いつもと同じ道を、少し早歩きで帰った。
でも気持ちは、家に近づくにつれて、どんどん下がっていく。