キミが望むのなら
「いいなぁ~~!あたしも早く好きな人と付き合いた~いっ!!」
好きな人か……
「そのためにも桃香ぁ、協力よろしくねぇ~~」
「はいはい」
協力も何も、美樹が飽きっぽくなければすむことなんだけどね……
「で、その彼はどこの人なの?」
今まで話していた学校を後にして、歩き出したあたしたち。
「信二君はねぇ~~、隣の高校だよぉ」
「隣ってことは、あのエリート学校か」
あたしたちの高校の近くにある、きれいな高校。
エリートなだけあってか、金持ちの坊ちゃんやお嬢様が数多くいるらしい。
「彼の名前はねぇ~、日高信二[ひだかしんじ]くんっ!あたしたちと同じ高校3年生。気になっちゃって、調べたんだぁ~~」
聞いてもいないのに、そんな情報をあたしに教えてくる。
しかも調べたって……どうやってよ……
「先週の金曜日にねぇ、コンビニでナンパされてるあたしを助けてくれたんだぁ~」
へ―、助けてくれるなんて、いいヤツじゃん。
「そんな姿に一目惚れしたのぉ~~」
確かにわからないこともない。