キミが望むのなら


千崎様が帰る時は、頭を上げることができなかった……


「悠さん。これからは気を付けてくださいね。お客様に気に入っていただけないと、意味がないんですよ」


「……はい」


俺の帯じゃ、気に入ってもらえなかったんだろう……



でも、俺はあの色だと思ったんだ……


大人っぽい、綺麗なあの帯だと……



――俺、こんなんでいいのか……?



―――――――――――――……


「はぁ―……」


やっと終った……


夜の暗くなった道を歩く。


向かう場所は、いつもと同じ。



あの公園―……



……あれ?


公園に入ってすぐに目に入った、シルエット。



すぐにわかった。


……彼女だと。





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