キミが望むのなら
少し考えて、口を開いた彼女。
「……あたしは、夢なんて」
呟くような小さな声。
『夢なんて』か……
「ふぅ―ん」
少し冷たいようにして言ってしまった。
きっとそれは、俺が彼女に少なからず苛立ちを感じたからなのかもしれない……
夢を持つことのできる彼女が『夢なんて』と言ったから……
彼女にも何か心の闇があるのかもしれないのに、俺はそんなことを思ったんだ。
「夢をもたないなんて、つまらないね」
「っ……」
俺は酷い男なのかもしれない。
彼女を傷つけるような言い方をしたんだから……
この言葉は、彼女への嫌味なのか……
それとも、自分へ向けた言葉のか……
――自分でもわからなかった。