キミが望むのなら


「あたしみたいな普通の人間が、夢なんて……」


「……え?」


「あっ、なんでもないです」


呟くようなその声に、何故か俺の胸がギュッと苦しくなった。



「あなたには、夢があるんですか?」


「俺……?」


そう聞き返すと、遠慮気味に首を縦に振る彼女。



「俺はね……夢を持つことができないんだ」


「……なんで?」



『なんで』か……



「それが俺の運命だったから……」


「……え?」


「なんてね」


フッと笑みを、彼女に向ける。



俺には『夢』なんてない。


持つ必要はない。


だって『夢』なんて持っても意味ないから。


俺の未来は、もう決まっているんだから―……



「……さっきさ、夢がないといけないのか?って聞いたよね」


「あっ、それは……」



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