キミが望むのなら
「……覚えてくれてたんだ」
「ん?」
「うぅん!!なんでもない!!」
手を横に振り、同時に首も横に振った。
「それにしても久しぶりだね。2ヶ月ぶりくらい……かな?」
「そうだな」
2ヶ月も会えなかったわけではない。
俺が意図的に、由佳を避けていたんだ。
ただ、なんとなく会いにくくて……
「元気だった?」
「うん、元気だったよ」
「そう……」
俺と付き合っていた時よりも、長くなった髪を耳に掛ける。
綺麗な黒髪は、今でも健在だな……
「……アイス溶けるから、歩きながら話そうか」
「あっ、うん」
静かな夜を、2人で歩く。
「……」
「……」
特に言葉もなく、ただ無言で歩いた。