キミが望むのなら
*第2章*
キミの正体‐桃香Side‐
「お~ね~が~い~」
「嫌だから」
「えぇ~、どうしてぇ~」
今日の朝から、この会話。
さすがにあたしもキレるよ?
「なんでって、なんで美樹のために、あたしが男と会わないといけないのよ」
「えぇ~、だって、信二くんがどうしてもダブルデートがいいって言ってぇ~~」
ダブルデートね―……
「で?本当はなんて言われたの?」
「え゛……」
これまでの美樹の様子を聞く限りじゃ、とても信二君が美樹に落ちたとは思えない。
正直言って、信二君は美樹に興味なさそうだし……
「本当のこと言ったら、来てくれる?」
「いや」
「うぅ~~、桃香ぁ~~」
うるうるしたその瞳。
あたしが男だったら、素直に頷いていたのかもね。
「だっ、だって、信二君。美樹のこと全然、興味持ってくれないんだもん」
あっ、それは本人も気付いてたのね……