キミが望むのなら
――ガチャ
「桃香ぁ~?着替えたぁ~?」
「……美樹」
「え~!!めちゃくちゃ可愛いっ!!」
嬉しそうにピョンピョンと跳ねる美樹に、あたしはただため息。
「こんな可愛い服、やっぱりあたしには似合わないよ……」
水色の淡い上着に、胸元には大きなリボン。
それにあったスカートは、ひらひらしてて、下着が見えそうだ……
まぁ、何とか大丈夫そうだけど……
それにしてもリボンとか、ひらひらとか……
初めて着たんだけど。
篤志とのデートでも、こんな可愛い格好したことないし……
「も~!なんで桃香はそうやって自分を卑屈にするのかなぁ~~。桃香は可愛いよぉ!!」
両手を顔の前でギュッと握るその仕草は、本当に美樹の可愛さを引きだたしている。
「じゃあ次はメイクね♪」
はぁ―……もうここまできたら、諦めだ。
鼻歌を歌いながらご機嫌にメイクを準備する美樹。
こんなデートを楽しみにしている美樹を見るのは初めて。