キミが望むのなら
「あっ、信二く~ん」
「美樹ちゃん。おはよ」
犬のように信二君の姿が見えた途端、走り出した美樹。
尻尾が見えるようだよ……
「あれ?信二君1人ぃ~?」
「あぁ―……もう1人来るはずなんだけど……あっ、来た来た」
信二君が手を挙げると、それに気付いたのか、こちらに向かって歩いてくる人。
「っ―……」
その人を見て、時間が止まった。
「えっ!桃香っ!めちゃくちゃカッコいいじゃん!!」
興奮したように美樹があたしの肩を触るけど、あたしの瞳にはその瞳しか映らない。
「悠、この人が多田美樹ちゃん。それでえっと……」
「美樹の親友の鈴木桃香だよぉ~。今日はよろしくね♪」
なんでこの人が……
「桃香?どうしたの?」
「えっ……?」
「ボーっとしちゃって」
あっ……