キミが望むのなら
「いい映画だったな―」
「うんっ♪最後はハッピーエンドだったしぃ♪」
映画が終わって立ち寄ったファミレスで、満足げな美樹と信二君が楽しそうに話す。
「さっ、お昼お昼♪」
鼻歌を歌いながら、信二君がメニュー表を開く。
「はい、桃香たちも選んで♪」
「あっ、うん」
向かい側に座る美樹から、もう一つあるメニュー表を受けとる。
「悠君、どれがいい?」
「……」
「……悠君?」
映画が終わってから、ずっと黙っている悠君。
ファミレスに入っても、外ばかりを見ている。
「おい!悠!!」
「……え?」
「『え?』じゃねぇよ。桃香ちゃんが話しかけてるのに、ずっとボーっとしててよ」
「えっ、あっ、ごめん!」
「あっ、うぅん。全然いいよ」
本当に申し訳なさそうに、あたしに謝る悠君。