キミが望むのなら


「いい映画だったな―」


「うんっ♪最後はハッピーエンドだったしぃ♪」


映画が終わって立ち寄ったファミレスで、満足げな美樹と信二君が楽しそうに話す。


「さっ、お昼お昼♪」


鼻歌を歌いながら、信二君がメニュー表を開く。



「はい、桃香たちも選んで♪」


「あっ、うん」


向かい側に座る美樹から、もう一つあるメニュー表を受けとる。


「悠君、どれがいい?」


「……」


「……悠君?」


映画が終わってから、ずっと黙っている悠君。



ファミレスに入っても、外ばかりを見ている。


「おい!悠!!」


「……え?」


「『え?』じゃねぇよ。桃香ちゃんが話しかけてるのに、ずっとボーっとしててよ」



「えっ、あっ、ごめん!」


「あっ、うぅん。全然いいよ」



本当に申し訳なさそうに、あたしに謝る悠君。



< 75 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop